2008年3月 4日 (火)

屋根のシート断熱防水

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【NO.196】「屋根のシート断熱防水」のウソ・ホント《会員リクエスト》

シート断熱防水って、どういうもの?
 シート断熱防水を簡単に説明すると、鉄筋コンクリートや鉄製の屋根に断熱材を敷き、その上を丈夫な防水シートでカバーすることを指す。
 断熱材により夏の炎天下でも屋根の温度上昇を低減させ、室内環境をよくする効果がある。防水シートはカラスが突いても破れることがなく、耐久性も長いことから昭和40年代から50年代にかけてマンション屋根の補修に盛んに用いられた。
 昭和30年代、40年代に建てられたマンションは屋根の断熱性が低く、最上階住戸は「屋根が焼ける」と嫌われた。真夏に屋根の温度が上がり、夜になっても室内温度が下がらなかったからだ。
 屋根のシート断熱防水は、改修工事で施工しやすいため、「屋根が焼ける現象」をなくすために重宝されたのである。
 シート断熱防水は現在も、新築、改修で採用されている工法である。


それは、外断熱にあたるの?
 屋根のシート断熱防水は、「構造躯体の外側を断熱材で覆う」という意味では外断熱になる。
 しかしながら、現在、「外断熱」と呼ばれる構造は、構造躯体の外側全体を断熱材で覆うことを指している。屋根も壁も、そして床部分も外側に断熱材を張っている状態が外断熱となるわけだ。
 そのため、「屋根はシート断熱防水だが、壁は内側に断熱材を入れている」もしくは「屋根はシート断熱防水だが、壁には断熱材が入っていない」というような構造の場合、厳密には外断熱とはいえないし、外断熱住宅の長所も生じない。単に、「屋根は外断熱になっている」ということになる。

文:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

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2008年2月 5日 (火)

熱交換方式ではない24時間換気装置

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【NO.194】「熱交換方式ではない24時間換気装置」のウソ・ホント《会員リクエスト》

熱交換方式の24時間換気装置って、どういうもの?
 24時間換気装置は、住宅の気密性が高まったことで生み出された装置だ。
 その役割は、玄関ドアや窓を閉めたままでも室内の空気を入れ換える——つまり換気をすることにある。
 気密性の高い家でドア・窓を閉め切ったままだと、室内の空気がよどみ、カビやダニが発生しやすくなる。これを防ぎ、室内環境をよくするために開発されたのが24時間換気装置である。
 この装置には、実は二つの種類がある。
 一つは「熱交換機能がついているもの」。もう一つは、「熱交換機能がついていない」ものだ。熱交換機能の有る無しで、住み心地が大きく変わってしまう。その内容を説明しよう。


熱交換方式でないと、どんな問題が起きるの?
194 熱交換機能というのは、室内から外に出る空気と、外から入ってくる空気の間で熱を交換する方式を指す。
 例えば、夏の場合、外の空気は暑く、室内の空気はエアコンで涼しくなっている。このとき、室内の涼しい空気を出し、外の空気を取り入れるだけだと、室内が暑くなってしまう。
 冬はその逆で、外の空気が冷たく、室内の空気は暖められているので室内が寒くなる。暖房をつけているのに、室内の温度が暖まらない。寒くて仕方がないという現象が起きてしまうわけだ。
 そこで、室内から外に出す空気と外から入ってくる空気で熱を交換したらどうだろう。
 夏は外から入ってくる空気の温度を冷やす。冬は外から入ってくる空気を暖めることができるので、室内温に及ぼす影響が少ない。だから、快適さを損なわれないことになる。
 

熱交換方式ではない24時間換気装置と上手につきあう方法は?
 熱交換方式の24時間換気装置であれば、夏も冬も過ごしやすくなるのだが、問題は熱交換方式ではない24時間換気装置の場合だ。
 熱交換方式のものは値段が高い。また、熱交換方式にすると、換気能力が下がるという見方もあり、すべての24時間換気装置に熱交換機能がついているわけではない。むしろ、熱交換方式ではない24時間換気装置のほうが多いと思われる。
 では、熱交換方式ではない24時間換気装置で寒い冬や暑い夏を乗り切るためにはどうするか。
 多くの人が採用している解決法は、24時間換気装置のスイッチを切るというものだ。スイッチを切るのは、特に寒い日や特に暑い日。冷暖房効率がわるくなるような日だけはスイッチを切り、それ以外の日は極力24時間換気装置を作動させる。それが、現実的な解決策になっており、それ以外によい方法がないというのが実情である。

文:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

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2007年8月28日 (火)

セントラル浄化システム

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【NO.183】「セントラル浄化システム」のウソ・ホント《会員リクエスト》

セントラル浄化システムって何?
 最近は、台所の蛇口に浄水器を付ける家庭が増えた。この浄水器を各家庭ごとではなく、集合住宅でまとめて行うのが、セントラル浄化システムだ。
 具体的に説明しよう。
 マンションなど戸数の多い集合住宅では水道を建物に引き入れ、各住戸に分ける方式をとる。各住戸に分ける前に、水道水を浄水装置に通し、まとめて浄化するわけだ。
 これにより、各家庭に配される水道水はすべて浄化済みということになる。
 つまり、台所で使う水だけでなく、お風呂の水も浄化されており、洗濯に使う水も浄化済み、トイレの水も浄化済みということになる。

セントラル浄化システムの長所は?
183 セントラル浄化システムの効用は、一般的な家庭用浄水器と同様、水道水から塩素やトリハロメタン等の物質を取り除き、カルキ臭のない水にすることだ。
 セントラル浄化システムと各家庭ごとの水道水浄化を比較した場合、最大の長所は、「浄化装置の管理がいいこと」といえる。
 浄化装置は定期的にメンテナンスが必要。機材の交換等が求められるのだが、各家庭で浄化装置を使う場合、メンテナンスを忘れてしまうことがある。
 しかし、セントラル浄化システムの場合、管理活動の一環としてメンテナンスを行うので、「忘れる」と言うことがない。細菌の繁殖等に関する点検も行ってくれるので、安心できる。これが大きな長所となる。
 このほか、セントラル浄化システムにすると、洗濯で汚れが落ちやすいとか、お風呂で肌への刺激がない、便器に水アカがつきにくい等の長所をうたうことがあるが、私自身、そのような違いがあることを確認できてはいない。
 

セントラル浄化システムに短所はないの?
 短所と言えば、費用の問題がある。1戸あたりにするとわずかな額だが、メンテナンス費用が管理費の中に含まれることになる。そのため、「浄水器などいらない」という人は、ムダにお金を取られているという不満が出ることも。
 このほか、大きな短所は聞いていない。

文:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

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2007年8月14日 (火)

特殊住戸

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【NO.182】「特殊住戸」のウソ・ホント

特殊住戸って何?
182 特殊住戸というのは、いうなればプレミア付き住戸のこと。マンション住戸の基本は中住戸と角住戸。ところが、マンションの設計を行うと、単純に中住戸・角住戸では分類できない住戸が生まれがちだ。
 例えば、中住戸ではあるが、広いルーフバルコニー付き住戸であったり、メゾネット住戸であったり、はたまた屋上テラス付きであったり……。このように、中住戸・角住戸という分類には収まりきれない変わった住戸——それが特殊住戸と呼ばれものである。


特殊住戸の長所は?
 特殊住戸は、他の住戸にはないプラスαの長所が備わっている。ルーフバルコニーがあれば、マンションの上層階でも「庭のある暮らし」を楽しむことができるし、メゾネット住戸であれば、室内に変化が生まれる。
 このように、他の住戸では味わえない住み心地のよさを備えていることが、特殊住戸の長所ということになる。
 

特殊住戸に短所はないの?
 では、特殊住戸に短所はないのだろうか。今まで見聞きしたなかで、特殊住戸だから生じる短所というものは、ないのだが……。
 あえて短所を探すと、特殊住戸は数が少なく、価格設定も割高になることがあげられる。
 つまり、誰でも買えるわけではないということが特殊住戸の短所というわけだ。
 数が少なく、値段も高いので、なかなか買えない。だからこそ、憧れる人が多い。それが特殊住戸といえそうだ。

文:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

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2007年7月31日 (火)

中住戸(なかじゅうこ)

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【NO.181】「中住戸(なかじゅうこ)」のウソ・ホント

中住戸って何?
 中住戸は、角住戸に対応する呼び方。角住戸が建物の端にあり、片側が他の住戸と接していないのに対し、中住戸は建物の中間に位置し、両脇を他の住戸に挟まれている。
 101号室から110号室まで10戸の住戸が並んでいる場合、101号室と110号室が建物の端に位置する角住戸となり、それ以外の8戸がすべて中住戸ということになる。


中住戸の長所・短所は?
181 中住戸と角住戸を比べると、角住戸のほうが居住性は高い。角住戸は両脇を他の住戸に挟まれるわけではないし、窓の数も多くなるからだ。
 角住戸の場合、浴室や洗面所、トイレ、キッチンなどに窓が設けられることが多いが、中住戸でそれらに窓が設置されることは少ない。
 このように書くと中住戸には短所ばかりと考えられがち。しかし、中住戸には大きな長所がある。
 それは、角住戸より割安な価格設定になること。つまり、買いやすいことだ。
 中住戸は角住戸より1、2割安くなる。例えば同じ専有面積の角住戸と中住戸が並んでいる場合、中住戸は3000万円で角住戸は3500万円というくらいの差がついてしまう。
 割安で購入しやすい。それが中住戸の大きな長所になるわけだ。
 

中住戸を選ぶ際のポイントは?
 購入しやすいが、窓の数が少ない。それが中住戸の宿命であるため、中住戸では通風・採光に難が出やすい。風通しがわるく、昼間も住戸の中心部が暗くなりやすいのだ。
 この短所を防ぐには、窓面積が広い住戸を選ぶことが大切。採光をよくするためには、ワイドスパン(別項参照)の住戸を選ぶべきだ。
 また、風通しのよさを求める場合は、風が入ってくる窓と出て行く窓が設けられていることが大切。南面と北面に窓があるというように、対局に窓があれば風が通りやすい。
 これに対し、南面にだけしか窓が設けられていないと風は通りにくくなる。風通しのよい中住戸を求めるなら、そのことを覚えておきたい。


文:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

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2007年7月17日 (火)

角住戸

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【NO.180】「角住戸」のウソホント《会員リクエスト》

角住戸って何?
 角住戸は、妻住戸とか妻側住戸とも呼ばれ、建物の端に位置する住戸を指す。
 マンションやアパートなど集合住宅では住戸が横に連なる。例えば1階に101号室から103号室が並んでいれば、101号室と103号室が端に位置し、角住戸ということになる。この場合、102号室は両サイドが他の住戸に接し、二つの住戸の間にあることから「中住戸」と呼ばれる。
 101号室から103号室までの3住戸で構成される場合、角住戸のほうが数が多く、中住戸が希少となる。
 しかし、実際には10戸、20戸と数多くの住戸が横に連なるため、角住戸のほうが希少価値が高い。
 10戸が並んでいる場合、角住戸は両端に1戸ずつで計2戸。これに対し、中住戸は8戸あるからだ。

角住戸の長所は?
180 角住戸の長所は、独立性が高いこと。マンションの場合、「壁の向こう側は他人の家」ということになるのだが、角住戸ならば、「他人の家に面した壁」が少なくなる。
 中住戸ならば2面の壁が他人の家に接するが、角住戸ならば1面で済むのが普通。もう1面は「外壁」になるので、気兼ねが少なくなるのだ。
 また、建物の北側に共用廊下を設ける場合、中住戸では、北側の部屋は共用廊下に面することになる。しかし、角住戸だけは、北側居室が共用廊下に面することがなく、プライバシーを守りやすいという特徴が生まれる。
 以上の2点から、角住戸は独立性が高いといえるわけだ。
 加えて、外壁には窓を設置できるので、窓の数が多く、明るく開放感があるという長所も生まれる。
 角住戸だけは浴室やトイレ、台所に窓が付くというケースもあり、窓の多さも角住戸の大きなポイントになる。

角住戸に短所はないの?
 緊急地震速報システムをモデルルームで実際に体験してみた。
 実際にマンションの角住戸に住んで、困ることや気になることは少ない。マンションによっては「エレベーターから遠い」ということがあるかもしれないが、致命的な短所ではないだろう。
 窓が多いのでカーテン代が高い!という意見があるが、これは短所といえるかどうか……。
 唯一の短所は、中住戸に比べて、角住戸は値段が高いこと。角住戸は中住戸より広い間取りにされることが多く、広いために余計に高額になるという側面もある。
 魅力的だが、簡単には買えない——それが大きな短所といえるだろう。
 

文:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

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2007年4月10日 (火)

二層吹抜のエントランス

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【NO.173】「二層吹抜のエントランス」のウソ・ホント

二層吹抜のエントランスって、どんなものなの?
 二層吹抜というのは、「建物の2階分を貫いた空間」という意味。具体的には、2フロアを分ける床を設置しない。例えば、1階部分に二層吹抜を設置する場合は、2階の床をなくし、1階から3階の天井が見えるようにする。それだけ天井が高い空間になるわけだ。
 通常、1フロア分の階高は3m程度になるので、2層吹抜の天井高はその2倍=6m程度になる。
 ちなみに、三層吹抜の場合は階高3mの3倍=9m程度の天井高となる。最新のマンションでは、この「三層吹抜のエントランス」も登場している。

二層吹抜のエントランスの長所は何?
 二層吹抜のエントランスは、空間をムダに使っているようにも思える。しかし、その空間は「リッチ」とか「ゆとり」を印象づける。
 訪ねて来た人が思わずため息をついて「いいねえ」という空間になるわけで、その効用は意外に大きい。
 例えば、高級ホテルの入り口や大きなオフィスビルの入り口には必ずといっていいほど吹抜が設置される。ホテルや会社の威厳を示すためである。
 それと同様、マンションのエントランスに二層吹抜を設けると、マンションの格が上がる——そういう効用があるわけだ。
 実際、二層吹抜のエントランスのあるマンションに暮らすと、毎日エントランスを通るときの気分がよいという。訪ねてきた客もほめる。そして、中古として住戸を売るとき、アピールできるポイントになるといった効用もある。
 二層吹抜のエントランスは、なかなか有益なのである。

二層吹抜のエントランスに短所はないの?
 短所となるのは、「ムダ」ということ。二層吹抜を設置することで共用スペースが少なくなる。例えば、エントランスを1階だけで収めれば、その2階に集会所や子供の遊び場をつくることができる。それができず、ムダというわけだ。
 また、吹抜空間にすることで、エントランス部分の光熱費が高くなるといったムダもある。
 しかし、前述したとおり、二層吹抜を設置することのメリットもあり、両者を天秤にかけると、長所のほうがまさっているという考え方が、現在の主流になっている。
 

文:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

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2006年8月 8日 (火)

二重壁

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【NO156】「二重壁」のウソ・ホント

「二重壁」って、どんなもの?
 二重壁というのは、鉄筋コンクリート造の建物(マンションなど)で採用される工法。鉄筋コンクリート造の戸境壁(二つの住戸を区切る壁)の内側にすき間をあけて石膏ボードなどを張り、石膏ボードに内装用のクロスを貼り付けて内装を仕上げるものだ。
 内装を仕上げる方法としてはもう一つあり、それは鉄筋コンクリートの壁に直接、内装用クロスを貼り付けるもの。こちらは、二重壁に対して「クロス直張り」と呼ばれている。

「二重壁」「クロス直張り」はどちらがいいの?
 では、二重壁とクロス直張りはどちらがよいのか。これは単純には判定できない。
 クロス直張りを行うなうためには、コンクリート面がきれいに仕上がっていないとまずい。凸凹があると、クロスを通して分かってしまうからだ。しかし、二重壁であれば、仕上げ面に多少の凸凹があっても問題はない。
 そこで、クロス直張りのほうが“上等”である、という見方もできる。
 しかしである、どうせ二重壁の内側に隠れてしまうのだから、表面をそれほど丁寧に仕上げなくてもよい。そのぶん、工費を節約しようという考え方で二重壁を採用するのであれば、それも合理的な発想と評価できる。
 つまり、どちらがいいのかは、一概にはいえないわけだ。

「二重壁」の遮音性は?
 かつて、二重壁は遮音性に問題ありとされたことがあった。それは、昭和の時代、コンクリート壁にセメントをお団子状にして付け、その上に石膏ボードを貼り付けるという工法が採用された時代だ。
 この工法を用いると、「太鼓現象」というものが起き、隣戸の音を増幅させてしまう——つまり、遮音性に問題が生じた。しかし、今はそのような工法は用いられず、角材で柱を立てて石膏ボードを固定。コンクリート壁と石膏ボードの間に断熱材を入れるなどの工夫で、太鼓現象は起きないようになっている。
 そこで、鉄筋コンクリート部分の厚さが同じ場合、二重壁でもクロス直張りでも遮音性に違いはない、ということがいえる。
 ただし、二重壁もクロス直張りの壁も「壁厚が同じ」場合は状況が異なる。例えば、壁厚はどちらも20センチという場合、クロス直張りならば鉄筋コンクリート部分の厚さもほとんど20センチ。これに対し、二重壁の場合は壁全体の厚さが20センチなので、鉄筋コンクリート部分の厚さは正味14,5センチということになってしまう。
 この場合は、コンクリート部分の厚さが大きいクロス直張りのほうが遮音性が高いということになるわけだ。

文:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

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2006年5月30日 (火)

構造壁

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【NO.146】構造壁のウソ・ホント

「構造壁」ってどういうもの?
 構造壁というのは、簡単に言うと建物を支える役割をもった壁のこと。これに対し、単に部屋を区切るためだけの目的で設置される壁を内装壁という。
 鉄筋コンクリート造のマンションの場合、構造壁は鉄筋コンクリートでつくられるのが普通。しかし、内装壁には石膏ボードや合板など軽い素材を用いる。内装壁はある程度の遮音性や耐火性をもっていれば、軽く加工しやすい素材で十分なのである。

「構造壁」の注意点は?
 建物を維持するために必要なものだから、構造壁は勝手にいじることはできない。しかし、内装壁であれば、自由に取り外すことができる。これが大きな相違点だ。
 「構造壁はいじることができない」ということは、リフォームを行うときの制約になる。例えば、隣の住戸との境に設けられた構造壁にビスを打ち込むようなことはできない。ましてや、ドリルで穴をあけ、太いフックを設置するようなことも許されない。
 この構造壁は、住戸を囲うように設置されるだけではない。住戸の内側、ときには中央部に設置されることもある。このように住戸内にある構造壁もいじることができない。そのため、リフォームで部屋の間取りを変えたいときに大きな制約になりがち。住戸内にある構造壁には注意が必要なのだ。

「構造壁」のもうひとつの注意点
 住戸内に構造壁があるときは、もうひとつ心得ておかなければならないことがある。それは、構造壁が占める広さも専有面積に含まれるということである。
 構造壁が大きく、設置箇所が多い場合、例えば専有面積が80m2と表記されていても、実質的に利用できる床面積は75m2しかない、と言うことも起きかねない。構造壁が室内にある場合、その分、実質的な専有面積が少なくなってしまうことも心得ておかなければならないわけだ。

文:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

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内廊下方式

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【NO.139】内廊下方式のウソ・ホント

「内廊下方式」ってどういうもの?
 内廊下方式は、マンションやアパートなど集合住宅に用いられる共用廊下(各住戸に出入りするための廊下)の方式の一つ。共用廊下を屋外に設置するのが「外廊下方式」。これに対し、屋内に共用廊下を設けるのが「内廊下方式」だ。
 古い木造アパートで、この方式にお目にかかることがある。その場合、あまりイメージはよくない。一方で、内廊下方式はホテルに採用されることも多い。ホテルの場合、内廊下にはカーペットが敷かれ、ムードがよい。
 このように、内廊下方式にはよいイメージと好ましくないイメージがあるのが実情だ。

「内廊下方式」の長所は?
 内廊下方式の長所は、天候の影響を受けないこと。雨の日や風の強い日、寒い日でも、快適に通行することができる。
 そして、ホテルと同様にカーペット敷きにすれば、高級な印象も生まれる。つまり、リッチなイメージでリッチに通行できることが内廊下方式の最大の長所と言うことになる。

「内廊下方式」に短所はないの?
 内廊下方式には、短所もある。
 例えば、内廊下のメンテナンスがわるく、薄汚れてしまうとイメージの低下が著しい。もう一つ、大きな短所となるのが共用廊下に面した窓を設置しにくいことだ。
 外廊下方式の場合、外廊下に面した窓を設置するのが普通。これに対し、内廊下に面した窓は設置されない。内廊下に窓をつけても通風・採光の効果が乏しく、一方でセキュリティとプライバシーを守りにくいという弊害のほうが大きくなってしまう。それで、現在は内廊下に面してた窓を設置しないのが普通になっている。
 つまり、住戸の窓が少なくなりがち——それが、内廊下方式の短所ということになる。

文:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

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雁行設計

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【NO.132】雁行設計のウソ・ホント

雁行設計って何?
 雁行設計というのは、建物の特徴を指す言葉。建物を上から見た場合、雁が飛ぶような形になっているものを指す。
 雁が飛ぶときは、1羽が先頭に立ち、次の雁は横の位置で少し下がる。三番目の雁は二番目の雁の横の位置から少し下がる……このように段々に下がりながら、広がった編隊を組む。マンションの建物が横一線ではなく、「雁の編隊」のように段々になっているのが雁行設計である。

雁行設計の長所は何?
 雁行設計の長所は、日当たりがよく、住戸のプライバシーを保ちやすいこととされる。が、これには補足説明が必要だろう。
 まず、日当たりがよいということについて。
 確かに、建物全体の日当たりはよくなる。しかし、各住戸の日当たりがよいわけではない。というのも、自らの建物で日陰ができてしまうからだ。
 雁行の設計の建物を時計の針に例えて説明しよう。
 雁行設計の建物のなかには、上から見ると時計の針が8時20分を指しているように見えるものがある。そのような建物で、12時の側が南だとする。すると、8時を指している針にあたる部分は、午前中の日当たりはいいが、午後は建物の陰になり、日が当たらない。一方、20分を指す針の側は、午後からの日当たりがよいが、午前中は日が当たらない——そのような事態が生じるわけだ。
 もうひとつ、「プライバシーを守りやすい」という理由は、バルコニーが横一線に並んでいないから。バルコニーに出たとき、隣のバルコニーの気配を感じることがないことを指し、プライバシーを保ちやすいとしている。
 しかし、これにも補足説明が必要。というのも、雁行設計の場合、バルコニーから顔を出すと、隣の家の中が丸見えになることがあるから。雁行設計は必ずしもプライバシーを保ちやすいわけではないのだ。
 結局、間違いなく長所といえるのは、建物の外観に変化があり、お洒落な印象になること。そして、窓を多く設置できることとなる。

雁行設計の短所は何?
 実際に雁行設計のマンションに住んでみて、切実に感じる短所は二つ。ひとつは、「長所」の項目でも触れたが、各住戸の日当たりがわるいこと、そして、隣のバルコニーから室内を覗かれやすいこと。この2点が雁行設計の短所となる。
 さらに、雁行設計を採用すると、工事費が高くなるのも短所の一つ。お洒落であるが、なかなか採用されにくい設計というわけだ。

文:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

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下がり天井

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【NO.114】下がり天井のウソ・ホント

「下がり天井」ってどういうもの?
 「下がり天井」とは、天井の一部が下がっていること全般を指す。そのため、天井の隅に梁の出っ張りがあるのも下がり天井。天井面積の半分以上が下がっているのも、下がり天井ということになる。
 マンションの場合、リビングに比べて廊下やキッチンなどは天井が低くなっているのが普通だ。この廊下やキッチンの天井を指して、「下がり天井」ということはない。
 廊下全体の天井が下がっているときは、下がり天井ではなく、「天井が低い」といわれる。
 下がり天井は、「そのスペースの天井高が均一ではなく、一部に低い部分があるときに、低い部分を指す言葉」となるわけだ。
 ここで思いつくのは下がっているのではなく、天井の一部が高くなっているケース。低い部分でも天井高が2m40cm以上あり、高い部分は2m60cm以上——このようなケースで、天井の低い部分を「下がり天井」とは呼ばない。天井に低い部分はなく、高い部分だけがあるからで、この場合は「折り上げ天井」という呼び方をするのが一般的だ。

「下がり天井」の正体は?
 下がり天井の中に入っているのは、鉄筋コンクリートの梁、もしくは排気ダクトというのが一般的だ。梁は柱と柱を結ぶ線上に生じ、排気ダクトはキッチンの換気扇や浴室、トイレの排気口からバルコニーや共用廊下に向かう線上に生じやすい。
 そして、下がり天井は、なるべく部屋の隅に生じるように工夫される。が、どうしても、部屋の隅に設置できないときは、下がり天井が目立つことになってしまう。つまり、天井を見上げると、下がり天井が縦断したり、横断しているのが嫌でも目に入るわけだ。
 このほか、天井面積の4分の1以上が下がるような“特大型”の場合、下がり天井はどこにあっても目立つ。
 下がり天井は、部屋の隅に、なるべく小さく生じているほうがよいわけだ。

許せる下がり天井の目安は?
 どこにあるのか、とともに気になるのは「下がり天井」の下がり方。天井からどれくらい下がっているか、だ。
 下がり天井でも、天井から20cm程度までの下がり方であれば、さほど気にならない。しかし、25cm以上になると、気になる。中には、30cmも下がった梁が部屋の中心にあるというケースも。よほど割安感がないと、そんな部屋を借りたり、買ったりする気にはならないだろう。
 下がり天井は、住まいの価値を大きく左右する要素になるわけだ。

文:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

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PS(パイプスペース)

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【NO.111】PS(パイプスペース)のウソ・ホント

「PS」とはどんなものなの?
 PS=パイプスペースとは、共用タテ管を通すための空間を指す。共用タテ管というのは、各住戸から流される排水を集めるための管。集合住宅を縦に貫く太い排水管だ。
 排水管はマンション生活にとってきわめて重要な設備になるため、傷つけられると困るし、万一詰まったときはすぐに修理できるようになっていないとマズイ。そこで、共用タテ管のための空間をしっかり確保しておく——それが「PS」というわけだ。

「PS」はいくつあるの?
 パイプスペースは、一つの住戸に1カ所とは限らない。キッチン用、トイレ用、浴室用、洗面所用にそれぞれ共用タテ管が設けられている場合は、PSも4カ所ある。しかし、4カ所もPSを設置するのは希。普通は排水を1本か2本の共用タテ管に集めることが多く、その場合はPSも1カ所か2カ所で済む。
 排水を集めるには、床下に横引きの排水管を設置する。横引きの排水管は自然に排水が流れるように勾配を付けなければならない。だから、この方法をとるときは2重床にして、床下空間を確保しなければならないわけだ。

「PS」によしあしがあるの?
 パイプスペースは、マンション生活にとって重要なもの。そのため、リフォームをするときも、このスペースをいじることができない。つまり、リフォームをするときの制約になるわけだ。
 そこで、パイプスペースの数が多かったり、住戸の中心部にパイプスペースがあるとリフォームしにくい住戸ということになる。
 現在は、なるべく住戸外(専有部の外)にパイプスペースを設置する工夫が増えている。それなら、リフォームを行うときの制約も少ない。
 しかし、住戸外にパイプスペースを出すときは、先述した床下の横引きが必要になり、2重床であることが求められる。それも、床下に十分な高さがある二重床……。ために、どんなマンションでもパイプスペースを住戸外に出せるわけではないことも覚えておきたい。

文:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

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ワイドスパン

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【NO.109】ワイドスパンのウソ・ホント

「ワイドスパン」とはどんなものなの?
 マンションでワイドスパンというと、二つの意味がある。
 一つは、ラーメン構造(柱と梁で建物を支える構造)の「柱と柱の間隔が広い」こと。柱と柱の間隔をスパンと呼び、その間隔がワイド=広いというわけだ。
 もう一つの意味は、「住戸の間口が広い」という意味。例えば、南向きのバルコニーに面した辺が広い——それがワイドスパンだ。
 マンションのパンフレットなどで、「この住戸はワイドスパン」と表現されるときは、後者の意味。間口が広い間取りを指す。
 バルコニーに面した辺=間口が8m以上あれば、ワイドスパンということになる。が、7m程度でもワイドスパンと呼ぶことがあり、明確な基準はないのが実情だ。

「ワイドスパン」の長所は?
 マンションの間取りは細長いものが多い。いわゆる“ウナギの寝床”状態で、この場合はバルコニーに面した辺=間口も狭く、窓面積が小さくなる。
 その結果、開放感を感じにくいし、家の中が暗くなりがちだ。
 その点、ワイドスパンなら間口が広いために窓面積も広く取れる。開放感が出て、住戸内も明るくなる。以上が、ワイドスパンの大きな長所である。
 マンションの住戸でも、角住戸タイプなら窓が多く、明るい室内が実現させやすい。
 しかし、両サイドを他の住戸に囲まれた「中住戸」の場合、窓を設置できる壁が限られる。そこで、間口を広くすると、窓面積が広がり、開放感が増すわけだ。

「ワイドスパン」に短所はないの?
 ワイドスパンの中には、8mどころか10mを大きく超え、間口15mというような間取りもある。その場合、奥行が浅く、間口が広いため、横広の間取りとなる。当然、バルコニーに面した部屋を多くできるので、開放感はさらに高まる。
 キッチンまでバルコニーに面することがあり、その場合、キッチンの日当たりもよすぎて、うっかり生ものを出しっぱなしにすると、すぐに傷むという声も。もっとも、これは欠点ではなく、贅沢な悩みというべきだろう。
 このほか、ワイドスパンに際だった短所はない。
 現在の傾向としては、南向き以外の住戸——例えば北向きや西向きの住戸にワイドスパンを採用するケースが多くなっている。
 直射日光が射し込まない、もしくは射し込む時間が短い住戸を少しでも明るくするため、間口を広げるわけだ。その結果、意外に明るい北向き住戸、西向き住戸が実現するのも事実である。

文:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

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天井高

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【NO.069】天井高のウソ・ホント

「天井高」って,どの高さのことをいうの?
 天井高というのは,床面から天井面までの高さのこと。つまり,実質的に室内で使える高さのことだ。
 これに対し,「階高」というのは,1フロアの高さのことで,例えば1階の構造床(鉄筋コンクリート造ならば,スラブ=鉄筋コンクリートの盤)の表面から2階の構造床の表面までの高さのことを指す。
 普通,住宅内の高さを問題にするときに扱われるのは「天井高」のほう。寝起きする室内はどのくらいの有効高があるのかが問われるわけだ。

「天井高」は,どれくらいあればいいの?
 居室として必要な天井の高さは建築基準法によって定められている。その数値は,「2メートル10センチ以上」。天井高が2メートル10センチに満たないスペースは「部屋」として扱えない。部屋ではなく,納戸扱いになってしまう決まりだ。 では,天井高が2メートル10センチあれば快適かというと,そんなことはない。部屋に入った瞬間,圧迫感を感じ,人によっては息苦しさを感じることさえある。そのため,2メートル10センチの住宅が増えた昭和60年代は,圧迫感を感じさせないようにと「じかに床に座る感覚のソファやテーブル」が発売され,人気を集めたほどだ。
 しかし現在では2メートル10センチの天井高は陰を潜めている。では,どのくらいが一般的か。 例えば,住宅金融公庫の融資を受けて住宅を造る場合,天井高は2メートル30センチ以上となっている。そして,現在つくられている住宅の大半は2メートル40センチ以上の天井高を持っている。そのあたりが現在の基準といえるだろう。
 さらに,最近は2メートル60センチを超える天井高のマンションも登場。天井高は年々上がる傾向にある。

天井って高ければ高いほどいいの?
 最近のマンションには天井高が3メートルとか,「吹抜け付きで5メートル」というようなものまで登場している。5メートルの天井高は,主にメゾネット(2層構造の住戸)で実現する特殊な例。それでも,天井高5メートルと聞くとつい「いいなあ」と思ってしまう。 しかし,天井が高いのは,必ずしもいいことばかりではない。
 例えば,寝室——寝る部屋で天井が高いと不安になり,落ち着いて寝られない。そのため,中世のヨーロッパでは,天蓋付きのベッドが使われた。天井の高いお城の部屋でも落ち着いて眠りにつけるよう,ベッドの四隅に柱を立て,テントを張るように布を張ったのである。
 現在の日本においても,天井の高さを誇るマンションで,本当に天井が高いのはリビングだけ。リビングが天井高3メートルでも寝室は2メートル40センチ程度に抑えられている。
 また,天井が高いと暖房の効率がわるくなる弊害があり,それを解消させるため,天井扇やサーキュレーターを使うケースが多くなっている。高い天井にダウンライトを埋め込むと,電球の交換が大変という声があるのも事実だ。過ぎたるは及ばざるがごとしか。

文:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

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吹抜

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【NO.063】吹抜のウソ・ホント

「吹抜」って、どういうものなの?
 「吹抜」と聞いて,まず思い浮かべられるのは,高い天井だろう。例えば,2階建ての戸建て住宅で,1階リビングや玄関ホールの天井が高い。なぜ高いのかを思ったら,1階なのに天井は2階部分のもの。つまり,1階と2階の間のフロアがなく,いわば「2フロアぶち抜き」の状態になっているのが戸建て住宅における「吹抜」だ。
 これに対し,マンションなど集合住宅では違う形式の「吹抜」が設置されることがある。それは,建物の一部が欠けている状態で,その「欠けている部分」を吹抜と呼ぶものだ。例えば,超高層のタワーマンションで,チクワのように中央部が空洞になっている場合,空洞部分が「吹抜」になる。
 また,長屋のような形式の集合住宅を上から見て,ところどころに穴が開いているように空洞が設けられているとき,その空洞も「吹抜」と呼ばれる。
 この空洞,かつてはライトコートと呼ばれる事が多かったのだが,今は「吹抜」が一般的な呼び名になっている。

「吹抜」の長所は何?
 戸建て住宅に採用される「2フロアぶち抜き」タイプの吹抜は,開放感やのびのびした印象を演出する目的で採用される。
 これに対し,集合住宅に設置される「吹抜」は,主に採光や通風を高めるために設置される。
 集合住宅の場合,窓を設置できる壁面が少ない。特に,両サイドを他の住戸に挟まれた「中住戸」では窓が少なくなり,室内に太陽の明るさや風を取り入れにくくなる。特に,住戸の中心部は,光も風も入らない場所になりがち。そういった場所に吹抜を設置すれば,採光,通風がよくなり,住み心地が向上するわけだ。
 このほか,吹抜を設置することで,浴室やトイレにも窓を付けやすくなり,住戸と共用廊下の間に設置すれば共用廊下に面した部屋のプライバシーを保ちやすくなるという長所もある。

「吹抜」に短所はないの?
 採光,通風を高める吹抜だが,一部の集合住宅にしか採用されないのが実情。その第一の理由は,吹抜を設置すると工事費用が高くなり,それが分譲価格や賃料を押し上げてしまうことである。
 次に,採光,通風を高めるには,ある程度広い吹抜でなればならないことも設置件数が伸びない理由の一つだ。例えば,3階建ての集合住宅の場合で,4平米以上の広さがないと,1階部分まで光が届かず,通風もよくならないとされる。狭く,風が抜けない設計の吹抜では浴室やキッチンの臭いがこもり、悪臭等の害が発生する。
 また,吹抜内の掃除がしにくいと,ゴミが溜まったままになることもある。狭い吹抜ならば,むしろないほうがマシというケースもあるわけだ。

文:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

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超高層マンション〜住み心地〜

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【NO.058】超高層マンション〜住み心地〜のウソ・ホント

「超高層マンション」に住む長所って何?
 構造編で説明したとおり、「超高層マンション」と呼ばれるのは、建物の地上高が60m以上のもの。階数に換算すると、だいた い地上20階以上となる。
 この超高層マンションの20階以上に住むと、いろいろといいことがある。まず、見晴らしがよく、展望台に住んでいるような気持ちよさが味わえる。見晴らしがよいだけでなく、向かいに同じような高さの建物がない限り、カーテンを開けていても部屋の中をのぞかれない、という長所も超高層ならでは。
 また、南向きの住戸であれば、日当たりもよい。ビルが建て込む都心や駅前エリアでは、超高層マンションの上層階でなければ、日当たりのよさは望めないのが実情だ。
 このほか、近くで花火大会があれば特等席で見物できるとか、住んでいるマンションが目立つので気分がよい、出前を頼むとき、マンション名と部屋番号だけで分かってもらえる、と言った長所もある。
 招いた客が、みんな「いいねえ」といってくれるという長所もあるが、それは住み心地とは直接関係ないだろう。

「超高層マンション」に住むと分かる短所は?
 長所が多い半面、短所もいろいろあるのが超高層マンションの特徴。例えば、高所恐怖症の人は住めないし、風の影響で非常に微弱な揺れがあり、揺れに敏感な人は船酔いのような症状を起こすともされている。ただし、そのような症状を起こした人に会ったことがあるかといわれると、答えはノー。もともと船酔いしやすい人は、超高層に住まないせいかもしれないが。
 このほか、超高層階に住むと流産しやすいとか、子供が肥満になりやすいといった指摘もあるが、いずれも、科学的根拠に乏しく、実証データもないのが実情。詳しい研究結果が待たれるところだ。
 間違いのない短所は、建物自体がビル風を起こすため、風が強く、窓を開けにくいこと。そしてバルコニーに鉢植えなどを置けないこと。風は上層階ほど強いわけではない。建物の形状や地形によって、建物ごとに風の強い場所が変わり、事前に予測できないのも短所といえば短所になる。
 超高層の上層階で窓を開けると、下から騒音が反響しながら上がって来るため、驚くほどうるさい。これも短所の一つ。しかし、窓を閉めていれば、騒音の問題はない。
 最近、よく指摘されるのは、「超高層マンションは携帯電話が通じにくい」というもの。住んでいる人が多いため、電波をとらえにくくなるようだ。これに対し、最新の超高層マンションでは携帯電話用のアンテナを増やすといった工夫が凝らされるようになっている。

最近増えている「超高層マンション」の工夫って何?
 最新の超高層マンションでは、最大の長所である「眺望のよさ」を満喫できるようにと、窓面積を広くする工夫が増えている。バルコニーをなくし、オフィスビルのように「窓の外は、いきなり空」という設計を採用するマンションも少なくない。
 展望台好きにはたまらないが、高所恐怖症の人間にはますます酷なつくりになっているわけだ。
 ちなみに、「窓の外は、いきなり空」という設計の場合、窓ガラスには車のフロントガラスと同様の合わせガラスが用いられ、丈夫さを追求。安全対策のため、窓の開き方は最小限になっている。
 この窓の外側は、自分で拭くことができず、清掃業者が数ヶ月に一度拭いてくれることになる。そのため、窓の汚れを見つけてもすぐに清掃できず、きれい好きな人はストレスを溜めてしまう可能性もある。

文:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

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超高層マンション〜構造編〜

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【NO.057】超高層マンション〜構造編〜のウソ・ホント

「超高層マンション」って、何階建て以上なの?
 超高層マンションと呼ばれるのは、地上60m以上の建物。これは、建築基準法で定められている。マンションの場合、1階分の階高は約3mのため、地上60mであれば19階か20階の建物を建設できる。そのため、一般的には地上20階建て以上になるものが超高層マンションと呼ばれているわけだ。
 地上60m以上の超高層建築になると、簡単には建設できず、国土交通大臣が認可した建設工法でなければならないのも特徴の一つ。つまり、地上60m未満の建物より厳しいチェック が行われている。
 超高層マンションは背が高いため、地震に弱いと考えられがちだが、実際には耐震性を追求した工法でつくられるので、むしろ地震に強い建物といえる。関東大震災クラスの地震が 来ても、まず倒れることはない。ただし、建物が大きく揺れるので、住戸内の家具が倒れる危険はある。そこで、建物の揺れを少なくする免震構造が採用されたりしているのだ。

「超高層マンション」に種類はあるの?
 超高層マンションは、大きく分けて2種類がある。タワー型と板状型だ。タワー型というのは、羊羹を立てたような形で、遠くから見ると杭が立っているようにみえるもの。現在、日本で建設されている超高層マンションの多くは、この「タワー型」だ。
 これに対し、板状型というのは、壁が立っているように、薄く幅広の建物になるもの。最近、少しずつ増えだした形状である。
 タワー型は、風の影響を受けにくいが、南向きの住戸だけでなく、東向き、西向き、北向きの住戸ができてしまう短所がある。また、多面の窓を設置しにくい、住戸内の風通しが わるい、という短所も生じがちだ。
 これに対し、板状の建物は一般のマンションと同様に、南向きの住戸だけにすることが可能。そして、南側と北側の両面に窓を設置できるので、通風、採光にすぐれるのが特徴。一方で、風の影響を受けやすく、免震装置を設置しにくいなどの短所もあった。これらの短所を解決する工法が開発され、板状の超高層マンションが増えだしたのである。

「超高層マンション」の構造は?
 超高層マンションは、当たり前だが背が高い。この背の高い建物を強固に建設するため、一般のマンションにはない工夫が凝らされる。例えば、一般のマンションと同じ工法で、超高層マンションを建設すると柱の下部を太くしないと建物を支えきれない。すると、超高層マンションの1階は柱だらけということになりかねない。
 そこで、細い柱でも建物を支えられるような工法が考え出されている。高強度コンクリート(別項参照)もその一つ。また、鋼管の中にコンクリートを充填したものを柱と梁に使い、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造よりも、柱と柱の間隔を広くとれる工法(CFT=コンクリート充填鋼管構造)も開発されている。
 また、広く用いられるのは、建物の下部のみ鉄筋コンクリート造とし、大部分を鉄骨造にする方法。この場合、建物は「鉄筋コンクリート造・一部鉄骨造」と表記される。が、実際には「一部」ではなく、「大部分」を鉄骨造にするのが主流になっている。 鉄骨造の場合、強い風で建物に微弱な揺れが生じやすい。そこで、風による揺れを解消するため、建物のてっぺんに「制振装置」を付けるのが一般的だ。

文:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

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低層マンシヨン

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【NO.047】低層マンシヨンのウソ・ホント

低層マンションって何?
 集合住宅の中で低層マンションと呼ばれるのは、一般には4階建てまでの建物。しかし、厳密に言えば、3階建てまでの建物が本当の「低層」となる。これには、用途地域の問題が絡んでいる。
 低層マンションが建設されるのは、戸建て住宅が多い地域。その中でも最も制限が厳しく、静かな環境や日当たりの良さを確保されるのが「第一種低層住居専用地域」と定められている場所だ。
 用途地域で「第一種低層住居専用地域」となっている場所では、建設できる建物の高さは10メートルまでとなっている。これは、一戸建てでも集合住宅でも同じ。集合住宅の場合、1階分で3メートルは必要。そのため、10メートルまでの高さで建物を造ろうとすれば3階建てが限界になる。
 つまり、「一戸建てが集まる静かな住宅地に建設される背の低い集合住宅」が低層マンションの魅力だとすれば、3階建てまでが最も低層らしい低層ということになるわけだ。

低層マンションの長所は何?
 低層マンションの魅力は、静かな住宅地に建設され、周辺環境がよいこと。そして、建物の背が低いため、圧迫感がないことも大きい。
 周辺環境がよい理由は前述したとおり。駅前の「商業地域」のように建物が密集していないし、騒音を出す店舗も開けない——そういう住宅地に建設されるのが、低層マンションの特徴となる。
 もう一つの長所が、中・高層マンションに比べ、「たくさんの住戸が一箇所にまとまっている」という圧迫感がないこと。マンションのなかでは、戸建てに近いムードの住み心地が味わえるわけだ。
 そして、庭付きの戸建て住宅より安い値段で借りたり、買ったりできる。つまり、マンションと一戸建ての長所を兼ね備えた住宅となり、これが根強い人気の理由になっている。

低層マンションに短所はないの?
 低層マンションは、戸建て住宅よりは安いものの、中層マンションや高層マンションよりも家賃や売値が高くなる。それが、短所の一つ。そして、エレベーターのない物件が多いことも短所になる。
 低層マンションで「2戸1階段」(2戸1階段の項目参照)を採用している物件では、まずエレベーターはない。そのため、2階、3階部分に住むと、高齢化して体の動きが不自由になると、出入りに苦労する。
 低層マンションにエレベーターを設置しようとすると、2戸1階段をやめ、共用廊下方式にせざるを得ない。建物の中央や端にエレベーター設置し、そこから共用廊下を通って各住戸に出入りするわけだ。しかし、2戸1階段をやめ、共用廊下を採用すると、低層マンションの持ち味である「戸建てに近い住み心地」が損なわれることになる。
 そのため、2戸1階段方式の低層マンションにこだわりながら、高齢化したときのことを考えて、庭付きの1階部分を選ぶ人が多いのも事実だ。

文:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

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コンクリート打ちっ放し

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【NO.043】コンクリート打ちっ放しのウソ・ホント

コンクリート打ちっ放しって、どういうものなの?
 通常、鉄筋コンクリートで建物を造る場合、次のような手順をとる。まず、鉄筋や鉄骨と鉄筋で、建物の骨組みをつくり、骨組みの周りをベニヤ板等でつくった枠で囲み、中にコンクリートを流し込んで固める。これで、柱や壁をつくるわけだ。コンクリートが十分に固まったら、枠をはずし、断熱材、内装材、外装材を加え、建物の外側と内側をつくる。
 これに対し、コンクリート打ちっ放しは、コンクリートが固まり、枠をはずしたところで内装(場合によっては、外装も)ができあがりとする。壁や柱がコンクリート面のままで、できあがりとする。だから、「コンクリート打ちっ放し」と呼ばれるわけだ。 そう書くと、簡単に仕上げた建物と思われるかもしれない。実際、コンクリート打ちっ放しの家を建てた人は、「お金がないから、コンクリート打ちっ放しなんです」などという言い方をしたりする。が、「お金がないから、コンクリート打ちっ放し……」というのは、謙遜して言っているもの。実は、コンクリート打ちっ放しはお金がかかる工法なのだ。
 理由を説明しよう。
 通常の工法の場合、枠をはずし、でき上がったコンクリート面にくぼみやキズがあっても、たいして問題にならない。表面が凸凹でも大丈夫。内装材や外装材で覆ってしまうからだ。
 しかし、コンクリート打ちっ放しではそうはいかない。くぼみやキズがあったらおかしいし、くぼみやキズを埋める補修を行うのもみっともない。補修跡が必ず分かってしまうからだ。
 そこで、コンクリートを打つとき、枠の組み方、コンクリートの入れ方に細心の注意が払われる。その結果、工事費用がえらく高いものについてしまうわけだ。工事費が高いから、なかなか採用されない。それがコンクリート打ちっ放しの第一の特徴である。

コンクリート打ちっ放しの魅力は何?
 コンクリート打ちっ放しは、コンクリート面の美しさを見せる工法だ。
 巨大な壁を完璧に平らで垂直に仕上げる──そんなことができるのは、コンクリートならでは。この人工美を強調するのが、コンクリート打ちっ放しというわけだ。
 同時に、コンクリート建築が出始めの頃、冷たい機能美も新鮮だった。それで、個性的な建物をつくる建築家が好んで用い、現在でもコンクリート打ちっ放しは、デザイナーズ住宅の代名詞になっているのだ。

コンクリート打ちっ放しに短所はないの?
 魅力的なのに、コンクリート打ちっ放しの建物はそれほど多くない。その理由の一つは、先述したとおり、工費が高いから。そして、もう一つの理由は、必ずしも、居住性が高くないからだ。
 例えば、冬、コンクリート打ちっ放しの壁はなかなか暖まらず、家中が底冷えすることが多い。また、外側も内側もコンクリート打ちっ放しの場合、断熱材がどこにも入っていないため、結露が生じやすい。外気の影響で、コンクリートが冷え、冷えたコンクリートの表面に室内の暖かい空気がふれると、空気の温度が下がり、飽和しきれなくなった水分がコンクリート表面に付き、結露となるわけだ。
 この寒さや結露を防ぐには、換気も兼ねたセントラルエアコンが効果的なのだが、それを備えると、さらに工費が高くなってしまう。また、建物が完成してからも、数年ごとに撥水剤を塗るなど表面加工のメンテナンスを行う必要があり、手間とお金がかかってしまう。 ムードは良いのだが、造るにも維持するにもお金がかかること。それが、コンクリート打ちっ放しの大きな欠点ということになる。

文:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

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空中廊下方式

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【NO.032】空中廊下方式のウソ・ホント

「空中廊下方式」って、いったい何?
 空中廊下方式は、マンション暮らしにおいて住戸のプライバシーを守るために生み出された──といっても、具体的にどんなものなのか、わかりにくいだろう。そこで、もっと具体的に説明しよう。
 マンションをはじめとした集合住宅では、外廊下とか開放廊下と呼ばれる方式の通路が多く採用される。これは、外気にさらされた共用廊下(みんなで使う廊下の意味)に面して各住戸の玄関ドアが並んだ方式。集合住宅への出入りの仕方としては最も基本的な方式である。
 この方式は、工事費が安く、共用廊下部分を建ぺい率、容積率に入れなくてすむ。そして、エレベーターを設置するとき、設置台数が少なくてすむといった長所があるため、多くの集合住宅で採用されてきた。しかし、短所もある。それは、共用廊下に面した部屋のプライバシーを保ちにくいということだ。
 ガラス窓のすぐそばを人が通るため、たとえすりガラスを使っていても、気になる。窓を開けて寝ることはもちろん、昼間、窓を開けて生活することもはばかられる。ために、住む人には評判の悪い設計方式となっていた。
 そこで、考え出されたのが、共用廊下を建物から離し、「窓のすぐそばを人が通る」という状況をなくすというもの。「共用廊下を建物から離す」といっても共用廊下が完全に建物から離れるわけではない。建物と共用廊下の間にところどころ吹き抜けを設け、部分的に離す。これが「空中廊下方式」と呼ばれるものである。

「空中廊下方式」を採用することで生まれる長所は何?
 空中廊下方式は工事がめんどう。それでも、採用されるのは、居住者の人気が高いからだ。そりゃあそうだろう、住んでいる人間の気持ちになれば、窓のすぐそばを人が通らないほうがいいに決まっている。
 そして、吹き抜けに面してバルコニーを設けることもできる。従来方式のままだと、窓の外はすぐ共用廊下。それが、空中廊下方式を用いることで、窓と共用廊下の間に空間が生まれ、その空間に突き出すかっこうでバルコニーを設置できるわけだ。
 バルコニーがあれば、共用廊下を歩く人から部屋の中がますますのぞかれにくくなる。だから、夏の暑い日など、窓を開けて寝ることもできそう。もちろん、バルコニーに一時的に物を置いたり、鉢植えを育てることもできる。マンション生活の幅が広がるわけだ。
 空中廊下方式の場合、共用廊下から各住戸の玄関へは、「橋」を渡ってゆくことになる。この「橋」の入り口に門扉を付ければ、「専用ポーチ付き」という形式になり、玄関部分のプライバシーも保ちやすいという長所も生まれる。

空中廊下方式に短所はないの?
これまで説明してきたように「空中廊下方式」には長所が多い。その最大の短所は、工事の手間がかかり、工事費が高くなってしまうこと。工事費が高いと、分譲価格や毎月の家賃が高くなってしまう。高くなっても、やる価値があるか、という問題があるのだ。
実は、集合住宅の住む人すべてが、「窓のすぐそばを人が通ること」を嫌がっているわけではないし、「人目を気にせず、窓を開けたい」と願っているわけでもない。人が窓のそばを通ってもかまわないし、窓を開けられなくてもいい。それよりも、少しでも分譲価格や家賃を安くしてほしい。そう願っている人もいるため、空中廊下方式が広まっていかないのである。
また、空中廊下方式は、プライバシーを保ちやすいが、防犯上は不利という指摘もある。というのも、空中廊下に面してバルコニーを設置した場合、犯罪者がバルコニー飛び移り、バルコニー内に身を潜める可能性があるからだ。空中廊下方式には、まだ研究の余地があるというわけだ。

文:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

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