既存樹
【NO.189】「既存樹」のウソ・ホント
■既存樹って何?
分譲マンションのパンフレットを見ると、「敷地内には既存樹が豊富……」といった表記に出会うことがある。この既存樹とは、「もともとそこに生えていた木」のことを指す。
マンションの建設に伴い、新たに植えられた樹木は「植栽」と呼ばれるが、そのように外から持ってきた木ではなく、その場所で以前から育っていた樹木——それが既存樹だ。
パンフレットに「既存樹を中心に、豊富な植栽を配し……」と書かれていたら、それはもともと生えていた樹木に外から持ってきた木を加えていることを意味する。
このように、もともと生えていた樹木=既存樹は特別扱いされ、既存樹が多い敷地は評価も高くなるのが普通だ。
■既存樹の長所は?
既存樹が特別扱いされ、既存樹の多い敷地は評価が高くなる。その理由は、既存樹には太い木が多いからである。
マンション敷地内に新たな木を植える=植栽を行う場合、太い木は植えにくい。細い若木を植えるのが一般的だ。そのため、敷地内の木が太く育ち、大きな木陰をつくるまでには相当の期間が必要になる。
立派な木になるまで10年、20年は必要だろう。
ところが、既存樹は樹齢20年以上のものが多く、立派に育っている。そのため、見栄えがよいし、木陰も大きいなど好ましい点が多くなる。それが、既存樹の長所となるわけだ。
■既存樹に短所はあるの?
既存樹に短所は少ない。強いて上げれば、必ずしも元の場所にあるわけではないということ。これはどういうことかというと……。
既存樹というと、以前からある木がそのままの場所に残されると思われがち。しかし、実際は、生育場所を移動するケースが少なくない。
もちろん、多くの樹木は、もとからある場所から動かさない。しかし、一部の樹木は工事の支障になるなどの理由で、場所を移される。
そのため、近隣住民がお花見時期に眺めていた桜の木が敷地内の別の場所に移動し、近隣住民から見えなくなってしまうというような事態が生じがち。それが原因で、マンションの建設反対運動が起きてしまったりする。
既存樹は周辺住民からも親しまれていることが多いために起きる問題といえるだろう。
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