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2006年5月30日 (火)

シューズ・イン・クローク

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【NO.033】シューズ・イン・クロークのウソ・ホント

「シューズ・イン・クローク」って、いったい何?
 シューズ・イン・クロークは、その頭文字をとってS.I.Cとも略される。一方で、シューズ・イン・クロゼットと呼ばれることもある収納スペースだ。とはいっても、これは「靴を履いたまま入る収納」という意味の和製英語。欧米では、家の中でも靴を履いているのが普通なので、わざわざ「靴を履いたまま…」と断る必要がない。いわば、すべての収納がシューズ・インである。
 玄関で靴を脱ぐ習慣のある日本で、「靴を履いて入ることのできる収納」が設けられるのは、玄関部分。玄関で靴を履くスペース=「たたき」から入るドアがあり、そのドアを入ったところが収納の小部屋になっているもの──それがシューズ・イン・クロークと思っていただければよい。
 この小部屋には棚が設置され、靴をしまいやすくなっている。スペースが広ければ、靴用の棚だけでなく、もっと大きな物がしまえる棚やハンガーを掛けるためのフックやパイプが設置されることもある。
 ただし、窓が設けられることはまれ。どんなに広くても物をしまうための場所で、他に転用しにくいスペースである。

「シューズ・イン・クローク」を採用することで生まれる長所は何?
 シューズ・イン・クロークの目的は、まず、靴をしまうこと。最近は靴の所有数が増え、ファミリー世帯の場合、既存の下足入れでは収まりきれないことがある。 はみ出した靴は箱に入れ、室内に持ち込むことになりがち。しかし、シューズ・イン・クロークがあれば、室内に靴を持ち込まないで済むというわけだ。
 では、実際に使っている人の感想は……。
  実際には、靴以外の用途で重宝しているという意見が多い。例えば、赤ちゃんのベビーカー(折り畳み式乳母車)をしまうのに便利とのこと。ほかに、子供のサッカーボールやスケートボード、スキー板などのしまい場所としても活用されている。意外に少なかったのが、ゴルフバッグ。それは、車に積みっぱなし、ということが多いためらしい。
 このほか、「来客のコートを掛けておくときに便利」という意見もあった。客が4人以上になると、コートやオーバー類を掛けておく場所を確保しにくくなる。そんなとき、シューズ・イン・クロークの中にしまうことができると、便利というのだ。ホテルのクロークのようにシューズ・イン・クロークを利用するわけである。

シューズ・イン・クロークに短所はないの?
  あれば何かと便利なシューズ・イン・クローク、それ自体に短所はない。しかし、問題はシューズ・イン・クロークのまわりだ。どういうことかというと……。
 今のところ、シューズ・イン・クロークはどうしてもなければ困るというスペース ではない。どうしてもシューズ・イン・クロークが欲しいという居住者の声もない。 にもかかわらずシューズ・イン・クロークが設けられるのは、「スペースが余ってしまったから」。スペースが余れば、普通は少しでも部屋を広くする。ところが、玄関まわりでは、スペースが余っても部屋に利用できないケースが多い。かといって玄関を広くすると、居住者から「もったいない」と言われかねない。そこで、玄関部分にあっても違和感のない収納スペースを設ける──それがシューズ・イン・クロークというわけだ。シューズ・イン・クロークの多くがそのような理由でつくられる。そのため、「収納スペースは多いけれど、部屋は狭い」という間取りができてしまいがちなのである。
 シューズ・イン・クロークがあるときは、それに目を奪われず、間取り全体にゆと りがあるかどうかを確認しなければならないわけだ。

文:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

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