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2006年5月30日 (火)

空中廊下方式

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【NO.032】空中廊下方式のウソ・ホント

「空中廊下方式」って、いったい何?
 空中廊下方式は、マンション暮らしにおいて住戸のプライバシーを守るために生み出された──といっても、具体的にどんなものなのか、わかりにくいだろう。そこで、もっと具体的に説明しよう。
 マンションをはじめとした集合住宅では、外廊下とか開放廊下と呼ばれる方式の通路が多く採用される。これは、外気にさらされた共用廊下(みんなで使う廊下の意味)に面して各住戸の玄関ドアが並んだ方式。集合住宅への出入りの仕方としては最も基本的な方式である。
 この方式は、工事費が安く、共用廊下部分を建ぺい率、容積率に入れなくてすむ。そして、エレベーターを設置するとき、設置台数が少なくてすむといった長所があるため、多くの集合住宅で採用されてきた。しかし、短所もある。それは、共用廊下に面した部屋のプライバシーを保ちにくいということだ。
 ガラス窓のすぐそばを人が通るため、たとえすりガラスを使っていても、気になる。窓を開けて寝ることはもちろん、昼間、窓を開けて生活することもはばかられる。ために、住む人には評判の悪い設計方式となっていた。
 そこで、考え出されたのが、共用廊下を建物から離し、「窓のすぐそばを人が通る」という状況をなくすというもの。「共用廊下を建物から離す」といっても共用廊下が完全に建物から離れるわけではない。建物と共用廊下の間にところどころ吹き抜けを設け、部分的に離す。これが「空中廊下方式」と呼ばれるものである。

「空中廊下方式」を採用することで生まれる長所は何?
 空中廊下方式は工事がめんどう。それでも、採用されるのは、居住者の人気が高いからだ。そりゃあそうだろう、住んでいる人間の気持ちになれば、窓のすぐそばを人が通らないほうがいいに決まっている。
 そして、吹き抜けに面してバルコニーを設けることもできる。従来方式のままだと、窓の外はすぐ共用廊下。それが、空中廊下方式を用いることで、窓と共用廊下の間に空間が生まれ、その空間に突き出すかっこうでバルコニーを設置できるわけだ。
 バルコニーがあれば、共用廊下を歩く人から部屋の中がますますのぞかれにくくなる。だから、夏の暑い日など、窓を開けて寝ることもできそう。もちろん、バルコニーに一時的に物を置いたり、鉢植えを育てることもできる。マンション生活の幅が広がるわけだ。
 空中廊下方式の場合、共用廊下から各住戸の玄関へは、「橋」を渡ってゆくことになる。この「橋」の入り口に門扉を付ければ、「専用ポーチ付き」という形式になり、玄関部分のプライバシーも保ちやすいという長所も生まれる。

空中廊下方式に短所はないの?
これまで説明してきたように「空中廊下方式」には長所が多い。その最大の短所は、工事の手間がかかり、工事費が高くなってしまうこと。工事費が高いと、分譲価格や毎月の家賃が高くなってしまう。高くなっても、やる価値があるか、という問題があるのだ。
実は、集合住宅の住む人すべてが、「窓のすぐそばを人が通ること」を嫌がっているわけではないし、「人目を気にせず、窓を開けたい」と願っているわけでもない。人が窓のそばを通ってもかまわないし、窓を開けられなくてもいい。それよりも、少しでも分譲価格や家賃を安くしてほしい。そう願っている人もいるため、空中廊下方式が広まっていかないのである。
また、空中廊下方式は、プライバシーを保ちやすいが、防犯上は不利という指摘もある。というのも、空中廊下に面してバルコニーを設置した場合、犯罪者がバルコニー飛び移り、バルコニー内に身を潜める可能性があるからだ。空中廊下方式には、まだ研究の余地があるというわけだ。

文:住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄

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